インドネシア暴動が示す「人材供給国」としてのリスクと可能性

日本の就労人材不足が深刻化する中、インドネシアは介護・製造業・建設業を中心に有力な人材供給国として注目されています。
しかし、2025年8月25日に同国で発生した大規模な暴動は、「治安リスク」という新たな課題を突きつけました。今回の出来事は、日本企業にとって単なる海外ニュースではなく、採用戦略や人材定着に直結する重要なテーマです。
本記事では、インドネシアが人材供給国として持つ可能性と、今回の暴動が示すリスクについて、企業の人事担当者向けに解説します。

弊社はインドネシアに特化した人材受け入れ会社として、これまで数多くの企業様をサポートしてきました。
現地の言語や文化・習慣にも精通しており、単なる採用支援にとどまらず、定着・活躍を見据えた包括的なサポートを行っています。また、長年にわたるインドネシアとの取引実績を背景に、信頼性の高い情報とノウハウを企業様に提供しています。
本記事では現場サイドの意見として、以下の理解を得る事が出来ます

  • 今回のインドネシア暴動の原因
  • 日本側が気を付けるべきポイント
  • インドネシアのリスクと対策
目次

なぜインドネシアは人材供給国として注目されるのか

インドネシアは人口約2億7,000万人を抱える世界第4位の人口大国です。若年層が多く、労働力が豊富であることから、日本にとって非常に重要なパートナー候補といえます。

  • EPA(経済連携協定) に基づく看護師・介護士候補生の受け入れ実績
  • 技能実習・特定技能制度 による介護・製造業・建設業分野での採用拡大
  • 日本語教育を受けた人材が増加していること
  • 日本と長い付き合いのある「親日国」である

こうした背景から、ベトナム・ミャンマ-に続く「第2の供給国」としてインドネシアの存在感は高まっています。

今回の暴動の背景と治安に対する影響

2025年8月末、インドネシアでDPR(国会議員)に対する、議員活動費の増額の法案可決が発端となり、非正規雇用の問題・物価上昇に伴う生活困難の問題を抱える、インドネシア国民の大きな反発を招き、抗議デモが暴動に発展、インドネシア全土に拡大しました。
日本人にとって馴染みのある、治安が良いとされる「バリ島」でも暴動が発生しました

暴動の背景

インドネシア国民の生の声として、雇用のアウトソーシング(派遣等の非正規雇用問題が不安を与えており、そこにコロナ禍以降の急激な物価上昇が重なった状態で、今回のDPR(国会議員)に対する議員活動費の件が国民を大いにガッカリさせた事に尽きます
そこにインドネシアの国会議員による「ショーオフ」と呼ばれる、SNS上での「お金持ちアピ-ル」が、瞬く間にSNSで拡散され暴動まで発展する追い打ちを掛けたのが背景です

治安に対する影響と今後

今回のインドネシアの暴動は、比較的安全だと言われる「バリ島」まで拡大しています
2025年8月31日 インドネシア大統領のプラボウォ大統領は、国民の怒りを鎮める為、DPR(国会議員)の議員活動費アップの法案を取り下げたので、今後はデモ隊の活動も縮小する傾向と思われます。
ただ、今回の暴動に便乗した政権転覆を狙った活動も示唆されているので、1か月程度は突発的な暴動が起こる可能性はあります

日本企業・人事担当者が注視すべきポイント

今回の暴動を受け、日本企業が検討すべき点は以下のとおりです。

渡航スケジュールへの影響

日本で就労予定の人材が予定通り出国できないリスクがあります。ビザ申請や現地渡航手続きが一時的に停滞することも想定されます。
また、日本側の人事担当が現地の送り出し機関の視察、または面接等は、暴動が沈静化するまで1か月程度必要です

※2025年9月3日 13:00追記
今回の暴動は思ったより早く収束しそうです
暴動の発端であるDPR(国会議員)への議員活動費アップの施策の取り止めを、8月31日のお昼頃にインドネシアの現大統領自ら取り止めに言及したのが効果を発したと思われます
来週以降には正常化しそうです
Youtubeでインドネシアの国営放送「TVRI」のライブ中継を確認すれば、言葉が分からなくても現在の雰囲気は掴めると思います
「berita indonesia hari ini」と検索して頂き、TV局のライブ配信ニュ-スを確認してみてください

生活環境・家族への不安

治安悪化のニュースは、SNSを通じて大きく拡散されており、故郷に家族を持つインドネシア人材に心理的な不安を与える可能性があります。
日本で安心して業務に専念できる相談体制の整備が必要になります

制度運用の遅れ

暴動が長引けば、政府の行政機能が停滞し、在留資格手続きや送り出し機関との連携に影響が出る恐れもあります。
コチラも念頭に入れる必要があります

インドネシア人材受け入れのリスク管理と対応策

インドネシア人材の受け入れは、日本にとって魅力的である一方、治安や社会情勢に左右されるリスクもあります。日本企業は次のような事を意識することが求められます。

現地情勢のモニタリング

外務省の海外安全情報や現地報道を定期的にチェックする体制を社内に構築する
特に雇用関係にあるインドネシア人の出身地域に対しては、リスク管理の観点から重点的に確認する。

受け入れ後のサポート強化

日本とインドネシアは生活文化・習慣、そして宗教観まで大きく異なる事を念頭におき、インドネシアに対して、言語・労働習慣等、インドネシアに精通した監理団体や支援機関を選択する必要があります。

契約・制度面でのリスク回避

今回の様な不測の事態に備えた受け入れ契約や労働条件を明文化し、トラブルを未然に防ぐことが重要です。
特にインドネシア側送出機関・日本側の監理団体や支援機関との不測の事態に備えた契約内容や、在留資格の更新スケジュールを明確に管理しておくことで、突発的な変更にも対応しやすくなります

社内体制の整備と教育

人材受け入れは「採用」だけでなく「定着」が鍵となります。
異文化理解研修や多言語対応マニュアルを用意することで、現場の社員が外国人材とスムーズに協働できる環境を整えることが必要です。
定期的に監理団体や支援機関を通じて、インドネシアの情報を得て社内で共有する事も重要です
多言語業務マニュアル等の作成については、補助金が設定されている事もあります

リスクを理解した上での持続的な人材確保を

インドネシアの暴動は、一見すると人材受け入れにネガティブな印象を与えるかもしれません。

しかし、長期的に見ればインドネシアは人口動態の観点からも、引き続き日本にとって重要な人材供給国です。
また、他国と比較して比較的に「失踪」や「犯罪」の問題が起きにくい国とされており、介護・医療分野でもEPA候補生のマッチングは早くに決まると言われています

重要なのは、治安や制度の変動リスクを理解した上で、柔軟かつ持続的な人材確保の仕組みを整えること です。企業が安心してインドネシア人材を受け入れるためには、採用から生活サポートまで包括的な対応が欠かせません。

インドネシア人材受け入れに関するご相談

日本では介護・製造業・建設業を中心に人手不足の解決策として外国人労働者の受け入れが急速に進んでいます。
その中でも、技能実習特定技能やEPA制度を通じたインドネシア人材の受け入れは今後さらに重要性を増していくと考えられます。

弊社は、インドネシアを含む海外人材の採用支援から生活サポート、そして日本企業のインドネシア進出のサポ-トまで、一貫したインドネシアに特化したサービスを提供するプロ集団です

  • 外国人労働者の採用を検討している
  • インドネシア人材受け入れに不安がある
  • インドネシア人スタッフの生活サポ-トに不安がある
  • インドネシアで事業展開をしたい


などといった企業様は、ぜひお気軽にご相談ください

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