日本に住む外国人のメンタルヘルス

今、現在において雇用している外国人のメンタルヘルスの問題に直面した事はありませんか??

ココでお話をするメンタルの問題とは、「モチベーション」や「ホームシック」等の問題ではありません。
躁鬱」 等の精神疾患のお話となります。

良くある悩みとして・・

  • 公的機関での補助やサポ-ト窓口は?
  • 病院選びはどうしたら良い?
  • 結果的にもう働けない場合は?


私が所属する事業所では、監理団体として外国人技能実習生から相談を受ける以外に、様々な在留許可証で日本に滞在する外国人の多種多様な相談を日々受けています。
行政との折衝の経験も含めて、その対応方法をお伝えしていきます

目次

日本に住む外国人のメンタルヘルスは健康?


日本人の人口の約3%となる、だいたい300万人近くの外国人が日本で生活をしております。
その諸外国の人々は日本と並ぶ「先進国」から来られた方々も居れば、「中進国」や「開発途上国」からやってきた外国人たくさん居ます

残念ながら、日本に就労やインターン、留学でやってくる、「技能実習」「特定技能」「技人国ビザ」、それと「留学」の外国人材は、中進国や開発途上国からの人材が多く、私たちの日本と比較してその国々は「精神疾患」に対する認知は非常に低いと思います。

実は日本に来る前に既に「メンタルヘルス」に問題を抱えた状態で来日するケースもかなり多いです。
一例を挙げてご紹介していきます

開発途上国での「精神疾患」に対する認識

インドネシアは、東南アジアの中でも、他の諸国を抜いてかなりの経済規模を持っていますが、「精神疾患」についての認知は非常に遅れています。

精神疾患=アニミズム

例えば精神疾患特有の症状を見せれば・・・

それは精神疾患はひとつの病気として認知されず、アニミズム的な発想で、「悪い霊が乗り移った!!」として捉えられる事が多いです。

※足枷を付けて拘束


この問題の原因として、「精神疾患」の治療に要する「治療薬」がたくさん必要となる為に、費用面の負担問題もあります。

国民健康保険が完全では無いインドネシアでは、診察代プラス多品種の薬代で1週間に2万円程度の費用負担が発生します。
この額は、私たち日本人であってもかなりの負担感のある費用となります。

経済規模がかなり大きいインドネシアでさえこの現状なので、更に経済規模が小さな「開発途上国」では、上記の写真の様な「除霊」の儀式が普通であっても不思議ではありません。

メンタルヘルスの遅れた認識

その外国人自身は「メンタルヘルス」に対して自覚が無いまま、日本へ入国前します
また、入国前に健康診断を受診しますが、もちろん「異常無し」という診断結果になりますので、日本側の受入れ組織(監理団体・受入れ企業・日本語学校...etc)も受入れ前に気付く事は出来ません。

※子供であっても拘束

外国人の精神疾患の問題が発覚すれば

通常の疾病やケガ等の対応フロ-については、インタ-ネット上の情報だけで十分可能であると思います。
しかし、「精神疾患」等のメンタルヘルスの問題に対しての対応策はあまり知られていません。

公的機関での補助やサポ-ト窓口は?

相談窓口として

残念ながら厳しいです。
行政機関の仕組み上、相談窓口が外部委託されている事がほとんどであり病院紹介等のサポ-トがメインとなります。

労災保険の活用

長期休職に至った場合のフロ-ですが、通常ですと社会保険を利用した「休業補償」があります。

勤務中の「疾病」や「傷害」については「労災保険」の給付対象となりますので、そこから毎月の給料の代わりとして休業補償金が外国人本人に支払われます。

しかし、精神疾患に対しては、因果関係の証明が難しいので、「休業補償金」の給付まで辿り着くのはかなり困難です。
コチラは私たち日本人であっても同様です。

病院選びはどうしたら良い?

精神科医とのコミニケ-ション

薬の処方や病状判定に対して、言語を利用したコミニケ-ションはとても重要だと言われています。
特に精神疾患の治療には多くの薬を処方する必要がある事も多いです。

メジャ-な言語である「英語」が通じるメンタルクリニックは、既にかなり整備されている感があります。
また、日本で一番多い国籍である「中国語」対応のクリニックもかなりあります。

外国人労働者の語学力

日本で技能実習などの「労働者」としての在留資格でやってくる外国人は、この上記2つの言語はほぼ習得しておらず、また日本語もカタコトである事が多いです。

病院での治療について

日本語と彼らのローカル言語をネイティブ程度に話せる通訳者が同伴しないと、残念ながら彼ら彼女たちが社会保険税を納税して私たちと同じ「健康保険証」を持っていても、完全な治療に至る事は難しいです

結果的にもう働けない場合は?

例えば・・・「躁鬱」の症状が酷くなれば労働どころか起き上がる事さえ困難になってきます。
外国人労働者の彼ら及び彼女たちに対して、療養休暇を与える意外に他の手はなくなります。
それでも完治しなければ「帰国」させてあげるのが一番の薬です

対策として

外国人であっても日本人であっても「労働法」においては平等の扱いとなります。
日本に生活のバックボ-ンが無い外国人に対しては「一定の配慮」が事前に必要となるのも事実です。

しかし、ココではあくまでも「平等」の観点からの対応策をお伝えします

雇用している外国人にメンタルヘルスの問題に気付いたら

早急に精神科医の診療をオススメします

外国語対応のメンタルクリニックでも、英語及び中国語までしかカバ-していない事がほとんどなので、日本語と彼ら/彼女たちのローカル言語が話せる「通訳」を同行させて下さい。

但し、表面的に見える「疾病」や「傷害」と異なり、「精神疾患」は中々表面化し辛い事もあり、また処方される「薬」の種類や分量も異なってくるので、クリニック側より断られてしまうケースも多々あります。
根気よく探す必要があります。

療養休暇が必要となれば

休養期間の給与

一番多い問題はココです。
通常であれば、「就業規則」に従い対応をします。

もし、「就業規則」にて病気休暇中であっても、通常の賃金を支払う取り決めがある場合は特に問題とはなりません。
問題となるのが「無給」として、就業規則に定められている場合となります。

例えば・・・

  • 無給であっても社会保険税が発生
  • 日本に頼れる家族が居ない
  • 来日前に借金を抱えている
  • 両親への仕送りが出来ない

社会保険税を除いて・・
日本人の労働者はこの様な懸念は発生しません。

上記が発端となり

  • 無理をして就労した結果として症状が悪化
  • 失踪に至る
  • 犯罪の誘惑に巻き込まれる

等の問題が発生します。
問題が発生する前に社内で取り決めや就業規則の改定を行う必要があります。

回復の見込みがないor既定の療養期間を超える

この様な場合は、日本人労働者と同様に就業規則に沿い「自主退職」か「解雇」扱いとなってしまいます。

  • パワハラや過重労働が原因である事が明らかである
  • 執拗な退職の強制があった
  • 医師の診断は「回復見込み」であるのに解雇を行った

上記のパタ-ンは就業規則に則っていても「不当解雇」と見なされる事もあるのでご注意下さい。

労働争議に関連する判例は都度変化をしていますので、事前に顧問先の社労士と詳細部分の打ち合わせをしておく必要があります。

最後に

コロナ禍の帰国困難者の外国人を私の事業所で保護をしましたが、その中で「精神疾患」を抱えている外国人が居ました。
彼は帰国が出来ないストレスによりその症状はかなり悪化をし、その彼より事業所の備品も滅茶苦茶に破壊され、私自身も暴力を加えられたりと大変でした。
既に帰国が叶い、彼の症状はすっかり落ち着いたと聞いています。

宗教・食事・親の教え・国の道徳観…etc  全てが異なる異国に労働者として住む事はとてもストレスが溜まり大変です。
もし、雇用している外国人の精神疾患が酷くなった時は、思い切って国へ帰してあげるのも最良の方法かも知れません。

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